イクボク

育児について語る時に僕の語ること

『残念な夫。』はどのようにして“残念”になったのか

残念な夫。 - フジテレビ

 

いや、面白かったです。というか、グサグサきました(笑)

自分はこのドラマにでてくる夫たちほど残念ではない(...と思いたい)のですが、おそらくある程度当てはまっているところもあるのだろうなと思いながら観ていました。そこで、今回はなぜ“残念な夫”が生まれるのかという理由について少し考えてみました。

 

かつては“残念な夫”では無かったはず

おそらく作中の夫も結婚当初から“残念”だったわけでは無いと思います。そもそも最初から残念だと思っている異性を自分のパートナーに据えたいと考える女性はいません...よね?

となると、「妊娠」「出産」「育児」というライフイベントを通じて、次第に夫が“残念”になってしまった(あるいは妻側がそう感じるようになった)、ということなのだろうと推察されます。

では、「いったいこの夫の何が残念なの?」と考えると、一言で表すなら“変化に適応できていない”ところなのではなかろうかと。作中、特に印象に残った台詞がありました。

それは、

 

「男って変わる事が苦手なのよ」

 

という台詞です。

「妊娠」「出産」「育児」にともなう家庭環境の変化に夫がついていくことができず、結果として妻との間に軋轢が生じてしまう。これこそが“残念な夫”を残念足らしめている要因なのではないかと思うのです。

これを「夫側の意識が低い」と一蹴してしまうのは簡単です。しかし、変われない夫にも変われない理由があるのではないか、というのが今回の主張です。

 

「妊娠」「出産」において夫は“最も当事者に近い他人”

誤解を恐れずに言うと、夫にとって「妊娠」や「出産」は結局は他人事です。自分のお腹の中で子どもが大きくなっていく感覚も、出産にともなう言葉では言い表せないような痛みも、夫には感じることができません。せいぜい端から見ていて「お腹大きくなったな」とか「凄く痛いんだろうな」と思う程度です。

一方、女性にとっては「妊娠」「出産」はそれこそ人生における一大イベント。日々変化していく自分のカラダと向き合いながら、次第に大きくなっていく新しい生命の胎動を感じる。そんな生活が十月十日に渡って続きます。この間に母親は少しずつその母性に目覚めていくのです...とここまで完全に妄想です。

いずれにせよ、この過程において夫婦が全く同じ意識を共有できるかというと、それはちょっと難しいんじゃないかと思うんです。これが一つ目の問題。

 

子どもとたった一人で向き合い続けることの「大変さ」

「妊娠」「出産」においてどこか他人事だった夫がはじめて当事者となる、それが「育児」です。ただ、ここにはまた別の問題があります。それは、多くの妻が産後休暇や育児休暇など“育児に専念する期間”を持つのに対して、多くの夫はそのような機会を持たない傾向にあるという現状です。(厚生労働省の調査によると男性の育休取得率は2%程度)

子どもは親に多くの幸せをもたらしてくれる、子育ては楽しい、これは間違いありません。しかし、それでもなお、生まれたばかりの子どもと2人きりで毎日を過ごすというのは体力的にも精神的にも大変なことなのです。

にも関わらず、多くの父親はおそらくその「大変さ」充分に理解していません。週に5日は仕事に出ているわけですし、休日も妻が一緒にいることがほとんどなので、子どもと2人きりで毎日過ごすことの「大変さ」というのはなかなか伝わり難いのだと思います。これがもう一つの問題。

 

“残念な夫”にならないための処方箋

夫が“残念”になってしまうのは少なくとも二つの理由があることがわかりました。これはどちらも夫個人の問題というよりも、夫と妻それぞれの経験の差から生まれる意識の違いにありそうです。ですから、問題を解決するにあたっては夫婦双方の歩み寄りが必要となります。

では、どうすれば“残念な夫”を生まない、あるいは“残念な夫”を更正させることができるのでしょうか。個人的には、経験の差を埋めるのは現実的ではないので、意識の違いを埋めるしかないと考えます。

まず、前提として上記のような意識の違いが生じているということを夫婦が認識する、ということが重要です。夫は「妻は自分が思っている以上に大変なんだろうな」ということ、そして妻は「夫は自分の大変さを理解するのが難しいのだろうな」ということをお互いに理解するということです。その前提に立ってはじめて建設的なコミュニケーションが可能となります。

その上で、夫側は妻の大変さを少しでもわかろうとする努力が必要です。例えば妊娠中であれば、通院への付き添いや父親学級への参加などが考えられます。出産にはぜひ立ち会いうことをオススメします。また育児においては、育休を取得するのが難しいという場合でも休日に一人で子どもと向き合う機会を持つなど方法はいくらでもあるはずです。

また、妻側も妊娠中のカラダの変化や出産・育児の辛さや悩みを積極的に訴えていくことが重要だと思います。「女の勘」という言葉があるように、女性は物事を察知する能力に長けています。夫に対して「それぐらいは察して欲しい」とか「イチイチ話をするまでのことではない」と感じることもあるかもしれません。しかし、夫も妻のことを理解するのに苦労している、ということを理解して欲しいのです。

 

と、ここまでつらつらと述べましたが、これはあくまでも僕の一個人の(そして現時点での)見解です。作中では今回、妻が自分の心情を明らかにしました。今後、妻のSOSを受けて“残念な夫”はどのように変わって(あるいは変わらない?)いくのでしょうか。次回以降の放送を楽しみに待ちたいと思います。

(了)