イクボク

育児について語る時に僕の語ること

プチ炎上中?サイボウズ“ママにしかできないこと”の真意について考えてみた

先日公開されたサイボウズによるワークスタイルムービー第2弾『パパにしかできないこと』がまたまた物議を醸しております(笑)

 


サイボウズワークスタイルムービー「パパにしかできないこと」 - YouTube

 

前作同様、賛否両論多くの意見が寄せられていますが、今回はかなり辛口の意見が多い印象です。

 

 

 

また、 制作側の意図に言及するエントリーもあり、こちらも興味深く読ませていただきました。

 

 

僕自身、前回のエントリーで思うところを述べさせていただきました。

 



...が、まだモヤモヤとしたものが残っているので、今回は少し距離をおいてもう一度この作品について考えてみたいと思います。

 

『パパにしかできないこと』は『大丈夫』へのアンサーなのか?

前作の『大丈夫』では、ワーキングマザーに関する問題を広く社会に対して提起したサイボウズ

 


サイボウズ ワークスタイルムービー「大丈夫」 - YouTube

 

この作品は働くママを中心に多くの視聴者の心を揺り動かし、ネットのみならずテレビでも取り上げられるなど大きな話題を呼びました。

 

その流れを受けて発表された今作『パパにしかできないこと』。

一般視聴者が、前回提起された問題に対するサイボウズ自身の回答を期待したのは当然であったでしょう。

そして、その期待値がとてつもなく高いものであったことも、また想像に難くありません。

 

しかし、その期待はある意味では裏切られることになります。

 

 

そうです。

『パパにしかできないこと』は『大丈夫』への“アンサー”ではなく“スピンオフ”(派生作品)だったのです。

そして前作のターゲットが“広く一般社会”(おそらく)であったのに対して、今作では“育児を頑張るパパ”を主要ターゲットと位置づけています。

 

これは何故なのか。

おそらくサイボウズはわかっていたのではないでしょうか。

 

彼らが提起した問題はあまりにも根深く、たかだか3分足らずの映像作品で解決することはできないであろうことを。

それは家族の在り方やライフスタイルが多様化した現代の日本社会においてはなおのこと。

 

働くママの気持ちを一時でも慰めるような、あるいは溜飲を下げられるような映像作品。

それはつくろうと思えばつくれるかもしれない。しかし、それでは根本的な問題はなにも解決しない。

 

そこでサイボウズは上記のような一時しのぎではなく、この問題に対して真正面から取り組む選択をしました。

そうした決意がこの『パパにしかできないこと』に秘められているように僕は思うのです。

 

“ママにしかできないこと”という台詞に隠された真意

それでは、サイボウズがこの『パパにしかできなこと』という作品を通じて成し遂げたかったことは何だったのでしょうか。

それは、この作品に登場するような“なんちゃってイクメン”たちを立ち上がらせることだったのではないか、と僕は感じました。

 

世のパパたちをざっくりと分類すると、

 

“スーパーイクメン

“なんちゃってイクメン

イクメンなんて興味無し”

 

にわけられると思います。(ざっくり過ぎ?)

 

この中で少しでも社会を変える可能性を秘めているのは、実は“なんちゃってイクメン”なのです。

 

“スーパーイクメン”は誰に言われるまでもなく積極的に育児に関わります。

また、“イクメンなんて興味無し”はそもそも動かすのが難しいでしょう。

 

“なんちゃってイクメン”たちを少しでも成長させその数を増やすことこそが、地道ではあるけれども、ワーキングマザーの抱える問題を解決する確かな道である。

 

少し見方を変えてみると、今作からはそのような制作意図が汲み取ることことができます。

 

となれば、“ママにしかできないこと”という台詞の意図は自明です。

 

この作品に対する批評の多くに、「子どもの寝かしつけや食事のお世話、保育園のお迎えなんてパパでもできる」という旨の主張が含まれています。

確かにそのとおりなのです。それはママや育児に積極的なパパにとってはそれは当然のことなのです。

 

しかし、今作がターゲットとしているのは“なんちゃってイクメン”。

「こんなの当然のことだからちゃんとやりなさい」と正論を振りかざしたところで、果たして彼らは変わってくれるでしょうか。

 

おそらくことはそう簡単ではありませんよね。

重要なのは“なんちゃってイクメン”自身に、

 

「あっ、これって俺にもできることだよな」

 

と気づいてもらうことなのです。

だからこそ、あえてハードルを一番低いところに設定して、寝かしつけや食事のお世話までをも“ママにしかできないこと”と表現したのではないでしょうか。

 

そして最後に登場するこの作品を象徴する台詞。

 

“奥さまのこと抱っこしてあげられるのは、あなただけなんですよ。”

 

これは言葉どおりの“ママをケアする”という意味を超えて、

 

“なんちゃってイクメンよ、今こそ立ち上がれ!”というメッセージに他ならないのではないか。

 

僕にはそのように感じられました。

 

今後のサイボウズに更なる期待 

唯一惜しまれるのは、上述したとおり一般視聴者の期待と制作サイドの思惑との間にミスマッチが発生してしまった点です。

もしかすると、発信のタイミングや方法など含めてコミュニケーションには改善の余地があるのかもしれません。(ここは非常に難しいところだと思いますが)

 

ただそこは、転んでもただでは起きないサイボウズ

 

この“ワーキングマザー問題”に関しては、今後も長期的に取り組まれていくものと思っていますので、今回の件を踏まえた今後の展開を期待して待ちたいと思います。

 

以上、“なんちゃってイクメン”によるなんちゃって考察でした。(了)